生前整理とは?やり方と進める順番|物・書類・デジタルの整理と家族への伝え方

「生前整理」と聞くと、物を捨てることを思い浮かべるかもしれません。けれども生前整理は、物を減らすことだけではありません。この記事では、生前整理の意味と、遺品整理・終活との違い、何から順番に進めればよいかを、法務省や国民生活センターなどの公的資料と、TEIKETUの現場の写真をもとに整理します。
これから始めようとしているご本人にも、親の生前整理を手伝いたいご家族にも、全体の地図として使っていただけるようにまとめました。個別のテーマは、それぞれ詳しい記事へご案内します。
この記事で分かること
- 生前整理とは何をすることか(物・お金と書類・デジタルの情報)
- 遺品整理・終活との違い
- 生前整理のやり方:進める順番と、それぞれの詳しい記事
- エンディングノートと遺言書の違い、法務局の遺言書保管制度
- 業者に頼める範囲と、TEIKETUでの進め方
生前整理とは:元気なうちに「物・お金・情報」を整理し、伝えておくこと
生前整理とは、本人が元気なうちに、自分の持ち物や財産、契約などの情報を整理し、残したいことを家族に伝えておくことです。法律で定められた言葉ではなく、どこまで行うかは人によって異なります。
生前整理の対象は、大きく次の3つに分けられます。
| 対象 | 主な内容 | 詳しい説明 |
|---|---|---|
| 物 | 衣類・日用品・家具・家電、写真や思い出の品 | 生前整理で最初に整理する物と後回しにする物、写真・思い出の品を手放せないときの整理方法 |
| お金と書類 | 通帳、保険証券、年金の書類、不動産の権利証、契約書などの保管場所 | この記事の「書類・お金の整理で確認しておきたいこと」 |
| デジタルの情報 | スマートフォン・パソコンのパスワード、ネット銀行、サブスクリプションの契約 | この記事の「デジタルの整理(デジタル終活)」 |
物を片付けることに加えて、「どこに何があるか」「どうしてほしいか」を家族が分かる形にしておくことが、生前整理の大きな目的です。物を無理に減らす必要はなく、本人の意思を尊重することが前提です。
遺品整理・終活との違い
似た言葉と並べると、生前整理の位置づけが分かりやすくなります。
| 言葉 | 誰が・いつ | 何をするか |
|---|---|---|
| 生前整理 | 本人が、元気なうちに | 自分の物・お金と書類・デジタルの情報を整理し、残したいことを伝えておく |
| 遺品整理 | 家族などが、亡くなった後に | 故人が残した物を、残す・譲る・手放すに分けて住まいを片付ける |
| 終活 | 本人が、人生の終わりに向けて | 医療・介護の希望、葬儀やお墓、相続の準備などを含む、身の回りの準備全般を指して使われる言葉。生前整理はその一部 |
生前整理をしておくと、家族が遺品整理をするときに、探し物や判断に迷う場面を減らせます。一方で、生前整理は家族のためだけのものではありません。使う物が取り出しやすくなり、住み替えや施設入居の準備が進めやすくなるなど、本人のこれからの暮らしを整えることにもつながります。
遺品整理の範囲や形見分けとの違いは「遺品整理とは?意味とやること、形見分け・生前整理との違い」で詳しく解説しています。
生前整理のやり方:進める順番
生前整理に決まった手順はありませんが、次の順番で進めると、途中で止まりにくく、大切な物を誤って処分することも防ぎやすくなります。
- 目的と期限を決める:「家族の負担を減らしたい」「住み替えや施設入居に備えたい」など、何のために行うかを決めます。期限がある場合は、そこから逆算します。始める時期の考え方は「生前整理は何歳から?」、施設入居・住み替えの場合は「施設入居・住み替えに向けた家財整理」をご覧ください。
- 書類とお金の置き場所を確かめる:物を処分する前に、通帳や保険証券、権利証などの大切な書類を探し、保管場所をまとめます(次の見出しで説明します)。
- 判断しやすい物から減らす:使っていない衣類、重複した日用品、期限切れの物など、迷わず判断できる物から始めます。具体的な順番は「生前整理で最初に整理する物と後回しにする物」にまとめています。
- 思い出の品は後回しにして、時間をかける:写真や手紙は手が止まりやすいため後回しにし、迷う物は保留にします。整理の方法は「写真・思い出の品を手放せないときの整理方法」をご覧ください。
- デジタルの情報を整理する:スマートフォンのパスワードや、ネット上の契約を整理します(後述)。
- 家族に伝え、書き残す:残したい物とその理由、書類の保管場所、契約の一覧を家族と共有します。エンディングノートと遺言書の使い分けは後述します。
- 自分で動かせない物は相談する:大型家具や家電、量の多い家財は、運び出しだけを業者に頼む方法もあります。
親の生前整理を家族から切り出す場合は「親に実家の片づけを切り出す方法」、きょうだいで分担する場合は「兄弟姉妹で片づける際の役割分担と話し合いの進め方」も参考にしてください。
書類・お金の整理で確認しておきたいこと
物の片付けより先に、手続きに必要な書類とその保管場所を確かめておきます。古い明細や封筒の中に、大切な書類が紛れていることもあります。
- 預貯金の通帳・キャッシュカード、証券会社からの書類
- 生命保険・損害保険の保険証券
- 年金・税金に関する書類
- 不動産の権利証(登記済証)や登記識別情報、固定資産税の納税通知書
- 賃貸借契約書、公共料金・携帯電話などの契約書類
- 実印・銀行印、鍵
一覧にして保管場所を書いておくと、本人も家族も確認しやすくなります。暗証番号やパスワードそのものを一覧に書くかどうかは、保管の方法と合わせて慎重に決めてください。
不動産は名義も確認しておく
自宅などの不動産の名義が、亡くなった親や祖父母のままになっていないかも確認しておきましょう。2024年4月1日から相続登記の申請が義務になり、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記をする必要があります。2024年4月1日より前に相続したことを知った不動産で、登記がされていないものは、2027年3月31日までが期限です。正当な理由なく申請しない場合は、10万円以下の過料の対象になることがあります。手続きは法務局や司法書士に相談できます。
出典:法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」(2026年10月21日確認)
デジタルの整理(デジタル終活)
スマートフォンやパソコンの中には、ネット銀行や証券、サブスクリプション(定額で利用するサービス)の契約など、紙の書類が残らない情報が集まっています。
国民生活センターは、遺族がスマートフォンのロックを解除できずネット銀行の契約先が分からない、IDとパスワードが分からずサブスクをすぐに解約できない、といった相談事例を紹介し、次のような事前の対策を呼びかけています。
- 万が一のときに、家族がスマートフォンやパソコンのロックを解除できるようにしておく(例:名刺大の紙にパスワードを書き、修正テープで隠して保管する「スマホのスペアキー」)
- ネット上の資産やサブスクの契約は、サービス名・ID・パスワードを整理しておく
- エンディングノートの活用を検討する
- 亡くなった後にアカウントの情報にアクセスできる人を指名できるサービス(Apple・Google)を活用する
パスワードは、第三者に知られないよう管理することが前提です。どこまで書き残すかは、保管場所と合わせて決めておきましょう。使わなくなったパソコンやスマートフォンを手放すときは、中のデータの扱いも確認が必要です。
出典:国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』」(2024年11月20日公表)、国民生活センター「始めましょう!デジタル終活」(2025年2月20日)(いずれも2026年10月21日確認)
エンディングノートと遺言書の違い
家族に伝えたいことを書き残す方法として、エンディングノートと遺言書があります。似ているようで、法律上の扱いが違います。
| 項目 | エンディングノート | 遺言書 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 連絡先、書類の保管場所、医療・介護や葬儀の希望、伝えたい気持ちなどを家族に伝える | 財産を誰に引き継ぐかなど、亡くなった後の財産の扱いについて意思を示す |
| 書き方 | 決まった書き方はない。市販のノートのほか、法務省と日本司法書士会連合会が公開しているエンディングノートもある | 民法で定められた方式に従う必要がある |
| 法的な効力 | 民法の遺言の方式を満たしていなければ、遺言としての効力はない | 方式に従って作成されたものは、財産の処分などについて法的な効果を持つ |
民法は「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない」と定めています(第960条)。エンディングノートに財産の分け方を書いても、民法の方式を満たしていなければ、遺言としての効力はありません。財産の分け方を決めておきたい場合は遺言書、それ以外の情報や気持ちを伝えたい場合はエンディングノート、と使い分けると整理しやすくなります。
出典:e-Gov法令検索「民法」第960条、国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』」(法務省・日本司法書士会連合会のエンディングノートの紹介)(いずれも2026年10月21日確認)
自筆証書遺言と、法務局の遺言書保管制度
自分で書く自筆証書遺言は、現在の民法では、遺言者が全文・日付・氏名を自書し、印を押す必要があります。財産目録は自書でなくてもかまいませんが、各ページに署名と押印が必要です(第968条)。
自宅で保管すると、紛失したり、家族に見つけてもらえなかったりするおそれがあります。法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を使うと、遺言書の原本と画像データを法務局が保管し、亡くなった後の家庭裁判所での検認が不要になります。保管の申請は遺言者本人が法務局に出向いて行い、手数料は1件3,900円です。法務局の職員は方式の外形的な確認(全文・日付・氏名の自書、押印の有無など)を行いますが、遺言の有効性を保証するものではありません。
なお、2026年6月に「民法等の一部を改正する法律」が成立し、遺言の押印を任意とする見直し(公布の日の2026年6月24日から1年以内に施行)や、パソコンなどで作成した遺言を法務局で保管する「保管証書遺言」の創設(同じく3年以内に施行)が決まっています。施行日は政令で定められるため、作成するときは法務省の最新の案内を確認してください。内容に迷う場合は、弁護士・司法書士などの専門家や公証役場に相談しましょう。
出典:e-Gov法令検索「民法」第968条、法務省「自筆証書遺言書保管制度」、法務省「09 手数料」、裁判所「遺言書の検認」、法務省「民法等の一部を改正する法律(成年後見及び遺言の制度の見直し)について」(いずれも2026年10月21日確認)
写真で見る:収納の中まで空にする片付け
住み替えや施設入居、家の売却を控えている場合は、家の中の物を最後まで運び出すこともあります。TEIKETUが2026年9月30日に千葉県松戸市の戸建てで行った家財整理の、作業後の写真です。※建物や依頼者を特定できる情報は掲載していません。作業内容は写真から確認できる範囲で記載しています。
押入れと作り付けの収納


押入れは中段と天袋の戸を開け、作り付けの収納は棚の上と下まで、中が空になっていることを確かめています。収納の奥は、書類や小物が残りやすい場所です。生前整理でも、処分を始める前に、こうした場所から大切な書類を探しておくと安心です。
台所の吊り戸棚と流し台の下

台所も、吊り戸棚と流し台の下の扉や引き出しをすべて開けて、物が残っていないことを確かめています。食器や保存容器は、生前整理で手をつけやすい場所のひとつです。
生前整理を業者に頼むときに知っておきたいこと
「何を残すか」の最終判断は本人と家族が行い、仕分けの補助・搬出・分別と処分・清掃などを業者に頼む、という分け方ができます。範囲と費用の考え方は「生前整理で業者に相談できる範囲と費用の考え方」で解説しています。
TEIKETUでは、次のように進めています。
- 大きな家具だけ、一部の部屋だけといったご相談にも対応し、ご本人・ご家族の希望に合わせて作業する範囲を決めます。
- お見積もりは無料で、写真でのご相談にも対応しています。料金は基本料金5,500円(税込)とトラックの大きさに応じたパック料金が目安で、パック料金はお支払い総額ではありません(サービス・料金)。
- 各部屋にカメラを設置して作業内容を記録し、作業前後の写真をご報告しています。
- 書類・写真・通帳やパソコン・スマートフォンは個人情報として扱い、電子データは完全消去を行い、データ消去証明書の発行にも対応しています。
TEIKETUは中野区本町に本社を置き、遺品整理士認定協会の認定(認定証 第IS62050号)、産業廃棄物収集運搬業許可(第1300249464号)、古物商許可(第308952519411号)を取得しています。
よくある質問
生前整理は何から始めればよいですか?
大切な書類の保管場所を確かめてから、使っていない衣類や日用品など判断しやすい物から始めると進めやすくなります。順番の例は「生前整理で最初に整理する物と後回しにする物」をご覧ください。
エンディングノートに書けば、遺言の代わりになりますか?
なりません。民法の遺言の方式を満たさないエンディングノートには、遺言としての効力はありません。財産の分け方を決めておきたい場合は遺言書の作成を検討し、内容に迷うときは専門家に相談してください。
親が生前整理に乗り気でないときは?
無理に進める必要はありません。「捨てる話」ではなく、これからの暮らしの話から始め、書類の保管場所を共有するだけ、引き出し1つだけなど、小さな範囲から始める方法があります。声のかけ方は「親に実家の片づけを切り出す方法」で紹介しています。
一度に終わらせる必要はありますか?
ありません。期限がある場合は、運び出しだけを業者に頼む方法もあります。
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まとめ:生前整理は「片付ける」と「伝える」の両方
生前整理は、元気なうちに物・お金と書類・デジタルの情報を整理し、家族に伝えておくことです。処分の前に書類の置き場所を確かめ、判断しやすい物から少しずつ進めましょう。何を残すか決まっていない段階でも、TEIKETUにご相談いただけます。
- お電話:03-6821-6165(受付 9:00〜18:00・年中無休)
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