遺品整理で出てきた現金・貴重品はどうなる?相続での扱いと見つけたときの流れ

遺品整理をしていると、タンスの引き出しや封筒の中から、まとまった現金や指輪・金貨などが出てくることがあります。「見つけた人がもらっていいのか」「葬儀の費用に使っていいのか」「税金はかかるのか」と、その場で迷う方も多いと思います。
この記事では、遺品整理で見つかった現金・貴重品が相続でどう扱われるか、見つけたときの流れ、遺産分割の前の扱い、相続放棄・相続税との関係、業者に頼むときに確認したいことを、民法・裁判所・国税庁などの公式情報をもとに整理しました。処分してはいけない物の全体は「遺品整理で捨ててはいけないもの12選」にまとめています。
この記事で分かること
- 見つかった現金・貴重品が、誰のものとして扱われるか
- 見つけたときに、まずやること(記録・保管・共有)
- 遺産分割の前に、分けたり使ったりしないほうがよい理由
- 相続放棄を考えている場合の注意点
- 相続税の申告との関係
- 業者に遺品整理を頼むときに確認したいこと
先に要点
- 亡くなった方の現金や貴金属は相続財産です。相続人が複数いる場合は相続人全員の共有になり、分け方は遺産分割で決まります。
- 見つけたら手を止め、場所と状態を写真に残し、金額や品物を記録して、相続人全員に知らせます。
- 相続放棄を考えている場合は、見つかった現金を使ったり持ち帰ったりする前に、弁護士・司法書士などに確認します。
- 相続税の申告が必要な場合は、見つかった現金や貴金属も財産として申告します。
見つかった現金・貴重品は「相続財産」になる
民法は、相続人は相続開始の時から、亡くなった方の財産に属した一切の権利義務を引き継ぐと定めています(第896条)。家の中から見つかった現金、指輪やネックレス、金貨・記念硬貨、骨董品なども、亡くなった方の物であれば相続財産です。見つけた人や、遺品整理を担当した人の物になるわけではありません。
相続人が複数いる場合、相続財産は相続人全員の共有になります(第898条)。
現金は、遺産分割で分け方が決まる
最高裁判所は、金銭(現金)は相続開始と同時に当然に分けられるものではなく、相続人は遺産分割までの間は、相続開始時にあった金銭を相続財産として保管している他の相続人に対して、自分の相続分に相当する金銭の支払を求めることはできないとしています(平成4年4月10日判決。平成10年6月30日判決でも同じ考え方が示されています)。つまり、見つかった現金を「法定相続分のとおり、その場で分ける」のではなく、相続人全員の話し合い(遺産分割)で、誰がいくら受け取るかを決めることになります。
預貯金との違い
預貯金には、遺産分割の前でも、各相続人が一定額まで単独で払戻しを受けられる制度があります(民法第909条の2)。家の中にある現金にはこの制度はないため、遺産分割が終わるまでは、そのまま保管しておくのが基本です。
出典:e-Gov法令検索「民法」、裁判所「最高裁判所 平成10年6月30日判決」(2026年10月25日確認)
現金・貴重品を見つけたときの流れ
後から「もっとあったはず」「誰が持っていったのか」と行き違いにならないよう、次の順番で進めます。
- 手を止める:見つけた場所から動かす前に、周りに同じような封筒や箱がないか確かめます。
- 場所と状態を写真に残す:引き出しや箱に入っていた状態のまま、全体と近くの両方を撮ります。
- できれば2人以上で数える:金額や品物の数を、立ち会った人と一緒に確かめます。
- 記録して1か所に保管する:日付・場所・金額や品物・立ち会った人を書き留め、個人の財布や口座とは混ぜずに、封筒や箱にまとめて保管します。
- 相続人全員に知らせる:写真と記録を共有し、遺産分割の話し合いまで保管する人と場所を決めます。
記録の例:
| 日付 | 見つけた場所 | 中身 | 立ち会った人 | 保管場所 |
|---|---|---|---|---|
| ○月○日 | 寝室のタンスの2段目 | 封筒入りの現金(金額を記入) | 長男・長女 | 長男が預かり、封筒のまま保管 |
| ○月○日 | 仏壇の引き出し | 指輪2点、記念硬貨 | 長女 | 品物ごとに袋に入れて保管 |
遺言書らしい封筒が一緒に見つかった場合は、その場で開封しないでください。扱いは「遺品整理で捨ててはいけないもの12選」の遺言書の節で説明しています。
遺産分割の前に、分けたり使ったりしない
見つかった現金は相続人全員の共有なので、1人の判断で分けたり使ったりすると、後で精算や話し合いがこじれる原因になります。分け方は、相続人全員の協議で決めます(民法第907条第1項)。話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所の遺産分割調停・審判を利用できます(同条第2項)。
葬儀の費用などに充てたい場合も、使う前に相続人全員で合意し、いくら何に使ったかを領収書と一緒に記録しておきましょう。費用の分け方の考え方は「遺品整理の費用は誰が払う?」にまとめています。
相続放棄を考えている場合
民法は、相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき(保存行為などを除く)や、相続放棄をした後でも相続財産を隠したり、ひそかに使ったりしたときは、単純承認をしたものとみなすと定めています(第921条)。単純承認とみなされると、原則として相続放棄はできなくなります。
相続放棄は、原則として自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所に申述します(第915条)。相続放棄をした人も、放棄の時に相続財産を現に占有しているときは、ほかの相続人などに引き渡すまで、自分の財産と同じ注意で保存しなければなりません(第940条)。
見つかった現金を使う・持ち帰る・誰かに渡すことが「処分」にあたるかは事情によるため、相続放棄を少しでも考えている場合は、手を付ける前に弁護士・司法書士などに確認してください。
出典:e-Gov法令検索「民法」、裁判所「遺産分割調停」、裁判所「相続の放棄の申述」(2026年10月25日確認)
相続税:見つかった現金も申告の対象になる
国税庁は、相続税がかかる財産を「現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋などのほか…金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのもの」と説明しています。家の中から見つかった現金や貴金属も含まれます。
相続税の申告が必要になるのは、相続などで取得した財産の合計が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合で、申告の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。期限までに申告しなかったり、実際より少ない額で申告したりすると、加算税や延滞税がかかる場合があります。
国税庁の「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」では、調査で見つかった申告漏れ相続財産2,879億円のうち、「現金・預貯金等」が1,247億円(43.3%)で、最も多くなっています。申告が必要か分からない場合は、税務署や税理士に相談しましょう。
出典:国税庁「No.4105 相続税がかかる財産」、国税庁「No.4152 相続税の計算」、国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」、国税庁「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」(令和7年12月)(2026年10月25日確認)
貴金属・骨董品・古いお札
- 貴金属や骨董品、ブランド品は、価値が分からなくても処分せずに残し、相続人で話し合ってから売るかどうかを決めます。遺品を買い取る事業者は、古物営業法にもとづく公安委員会の許可(古物商許可)が必要です。
- 日本銀行によると、一度発行されたお札は、法令にもとづく特別な措置がとられない限り使えなくなることはなく、現在25種類のお札が有効です。聖徳太子の一万円券のように流通に不便なお札は、日本銀行の本支店で今のお札と引き換えられます。古いお札も現金として記録しておきましょう。
出典:日本銀行「これまでに発行されたお札のうち、現在使えるお札はどれですか?」、e-Gov法令検索「古物営業法」(2026年10月25日確認)
現金・貴重品を見落としやすい場所
現金や貴重品は、すぐに目に付く場所ではなく、家族も知らない場所に保管されていることがあります。処分を始める前に、次のような場所を確かめましょう。
- タンスや衣装ケースの中の衣類のすき間、上着やかばんのポケット
- 仏壇や机の引き出し、小物入れ、茶筒や缶
- 本や雑誌、アルバムの間、封筒の束
- 押入れや天袋の奥、布団の間
- 物置・納戸の棚の上や、箱・袋の中
- 金庫や手提げ金庫(鍵や暗証番号が分からなければ、無理に壊さず保管する)

写真は、TEIKETUが2026年9月30日に千葉県松戸市の戸建てで行った家財整理の、作業後の写真です。※建物や依頼者を特定できる情報は掲載していません。作業内容は写真から確認できる範囲で記載しています。
袋や箱は、中身を確かめずにまとめて処分しないことが大切です。探す順番は「遺品整理は何から始める?最初の5ステップ」、通帳や印鑑など一緒に探したい物は「遺品整理で捨ててはいけないもの12選」をご覧ください。
業者に遺品整理を頼むときに確認したいこと
業者が作業中に見つけた現金や貴重品も、相続財産であることに変わりはありません。国民生活センターは、遺品整理サービスのトラブルを防ぐために、残す物と処分する物を明確に分けておくことや、料金・作業内容を事前に確認することを呼びかけています。契約の前に、次の点を確認しておくと安心です。
- 作業中に現金・貴重品・書類が見つかったとき、誰にどのように知らせるか
- 見つかった物の受け渡しの方法と、受け渡しの記録が残るか
- 探してほしい物(通帳・印鑑・現金・貴金属など)を、作業前に伝えられるか
- 立ち会えない場合の確認方法(写真での報告など)
TEIKETUの進め方
- 作業の前に、残したい物・探したい物・迷っている物をお聞きし、整理する範囲を確認します。
- 各部屋にカメラを設置して作業内容を記録し、作業後には作業前後の写真をご報告します。大切な品をどのように扱ったか、作業の過程を残すことで、トラブルや不正の防止に取り組んでいます。
- 書類・写真・通帳などの情報は、弁護士監修の個人情報保護マニュアルに沿って扱います。
- 現場に入る前には、近隣の方へのご挨拶を徹底しています。代表の瀬戸広樹も現場に出て、作業の質を高める取り組みをしています。
見つかった物の知らせ方や受け渡しの方法についてご希望があれば、お見積もりの際にお聞かせください。
TEIKETUは中野区本町に本社を置き、遺品整理士認定協会の認定(認定証 第IS62050号)、産業廃棄物収集運搬業許可(第1300249464号)、古物商許可(第308952519411号)を取得しています。
出典:国民生活センター「こんなはずじゃなかった!遺品整理サービスでの契約トラブル」(2026年10月25日確認)
よくある質問
遺品整理で見つけた現金は、見つけた人がもらえますか?
もらえません。亡くなった方の現金は相続財産で、相続人が複数いる場合は相続人全員の共有です。誰がいくら受け取るかは、遺産分割の話し合いで決めます。
見つかった現金で、葬儀の費用を払ってもいいですか?
使う前に相続人全員で合意し、金額と使い道を領収書と一緒に記録しておきましょう。相続放棄を考えている人がいる場合は、使う前に弁護士・司法書士などに確認してください。相続財産の処分にあたると、相続放棄ができなくなるおそれがあります。
少額の現金でも、相続税の申告に入れる必要がありますか?
相続税の申告が必要な場合は、見つかった現金も財産に含めて申告します。財産の合計が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下であれば、申告も納税も必要ありません。判断に迷うときは、税務署や税理士に相談しましょう。
業者が作業中に現金を見つけたら、どうなりますか?
業者が見つけた現金も相続財産で、業者の物にはなりません。見つかったときの知らせ方や受け渡しの方法は、契約の前に業者に確認しておきましょう。
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まとめ:見つけたら「記録して、共有して、話し合ってから」
遺品整理で見つかった現金や貴重品は相続財産です。見つけたら手を止めて写真と記録を残し、相続人全員に知らせて、遺産分割の話し合いまで保管しましょう。相続放棄を考えている場合は手を付ける前に専門家へ、相続税の申告が必要な場合は見つかった現金も含めて申告します。
TEIKETUでは、探したい物を伺ってから遺品整理を進めます(遺品整理・料金の目安)。お電話 03-6821-6165(受付 9:00〜18:00・年中無休)、またはお問い合わせフォームからご相談ください。